箱庭療法を、英語では'sandplay therapy'といいます。文字をご覧になればお分かりのように、箱庭療法の本来の意味は「砂遊び療法」です。
これはもともと、ユング心理学を基礎としてスイス人のドラ・カルフ女史が確立した心理療法の技法であり、縦横57×72センチの砂を入れた箱の中に、好きなアイテムを入れて世界を作るというものです。
たくさんアイテムを使われる人もあれば、ほんの少しだけ使う人もいますし、同じ人であっても時によって様々です。
夢分析同様、作られた世界を象徴的に解釈して、その人の内的世界を分析できる面もありますので、分かったことはすべてお伝えしますが、これは基本的に心理テストではありません。
世界を作り、それをカウンセラーとともに眺めるプロセスそのものを、心理学的な意味での自己実現の手がかりとしていく心理療法です。
この砂遊び療法に、日本特有の呼称として「箱庭療法」と名づけ日本に導入したのは、臨床心理士の資格確立に尽力した元文化庁長官、河合隼雄(故人)その人です。
河合先生によれば、もともと「箱庭遊び」という文化を持つ日本人が受け入れやすいようにと考え、このように名づけたとのことでしたが、実際この療法は、他のどの国よりも日本で広く受け入れられたようです。
ただ、実感としては、「箱庭療法」と呼んでしまったためにそれが先入観となった面があり、無形である砂に触れ、身体感覚を通して自由に造形するという重要な面が薄れてしまうことには、多少残念さを覚えています。
ご自分で箱庭療法を希望される方はそんなに多くないのですが、時によって、あるいはクライアントの方の性格・年齢等によって、言葉でのカウンセリングよりも造形のほうが適しているのではと感じた場合には、こちらからお勧めする場合もあります。
まずは子どもの気分になって、砂遊びする感覚でやってみられることをお勧めしたいと思います。
下は、箱庭制作の1例とアイテムの一部。
一番下の写真は、手作りしたアイテムの一部です。