人の心の内部に、自分でも認識できない「無意識」という領域が存在すると想定されたことをもって、深層心理学は成立したと言える。
あまりにも受け入れがたい記憶、理解が困難な記憶などは、解決が保留されたまま忘却され、無意識化するが、それらは決して消え去ったわけではなく、自我に影響を与え続ける。
強迫神経症・不安神経症やうつなどの神経症症状の大部分は、こうした無意識化した体験の記憶からの影響の現れである。
また、スイスの心理学者C.G.ユング(1875~1961)は、普遍的無意識という、全人類に共通する無意識の領域があると述べた。
国や時代を超えて、人が同じようなことに歓喜したり苦しんだり、同じ芸術作品や文学に心を打たれるのは、そのためだと言える。